ロンシャンの秋の大一番「凱旋門賞」
2025年は、日本競馬が長年追い求めてきた“悲願”に手が届くかもしれない年です。クロワデュノールやビザンチンドリームをはじめ、欧州でも評価を高める日本馬が揃い、現地オッズでも上位に支持されています。
一方で、欧州トライアルからはアヴァンチュール、ミニーホークなど勢いある強豪が台頭。ロンシャン特有の「坂」「馬場」「長い直線」が勝敗を分けるカギになります。

この記事では、出走予定馬の注目ポイントと“勝ち筋”を、わかりやすく整理します。

日本馬の悲願なるか|例年と違うポイント

2025年の凱旋門賞は、例年と比べて“日本馬に追い風となる条件”が整っている。長年「あと一歩」で涙をのんできた日本陣営にとって、今年こそ悲願達成を期待させる環境だ。

1. 輸送補助制度の導入

史上初めて、日本馬に対して輸送費の補助制度が導入された。これにより、遠征にかかる費用や馬への負担が軽減される。過去には長距離輸送によるコンディション低下が課題とされてきただけに、この変更は仕上がりや直前調整に大きな安心材料となる。

2. 前哨戦のスケジュール前倒し

ロンシャンで行われるフォワ賞など主要前哨戦が1週間前倒しされ、本番までが「中2週」から「中3週」に延長された。これにより、疲労の回復や調整の微調整がしやすくなり、仕上げに余裕が生まれる。特に日本馬のように欧州長期滞在に慣れない陣営にとっては、大きなプラスとなる要素だ。

3. 馬場改修による走りやすさ向上

ロンシャン名物のフォルスストレート(偽りの直線)で排水工事が行われ、馬場コンディションが改善された。従来は雨が降ると極端に脚を取られることが多かったが、今年は例年よりもフラットに近い条件になる見込み。馬場適性の差がやや縮まることで、日本馬にとって不利な要素が減る可能性がある。

欧州のライバルたち|今年の“基準”はこの馬たち

アヴァンチュール

昨年の凱旋門賞で2着に入った実績を持ち、昨年は2着だったヴェルメイユ賞を今年は快勝
生涯で連対を外したのが1度きりという堅実さに加え、血統的にもスタミナと持続力を兼ね備え、柔らかい馬場への対応力と長い脚の持続が強み。渋ったロンシャン馬場ならば、日本馬にとって最も警戒すべき存在。

ミニーホーク

トレーナーは名門 Aidan O’Brien
英オークスと愛オークスの両クラシックを制覇し、さらにヨークシャーオークスも勝利。
今季4戦無敗の形で、本番に直結する内容を積んでいます。 
英オークスでは2410mを2:38.91ヨークシャーオークスは2400mを2:26.67で勝利していて、馬場が重くても軽くてもパフォーマンスが変わらず、折り合いと立ち回りにも余裕あり。
血統的にも凱旋門賞トレンドである父Sadler’s Wells系×母父Danehill系とベストマッチで、3歳牝馬で斤量の恩恵まであるとなると、本番での枠順・展開次第では「キラーホース」となる可能性が高い一頭。

日本馬の有力候補|誰が悲願を叶えるか?

クロワデュノール

2025年のダービー馬で今年の日本のエースはこの馬
前哨戦に選んだプランスドランジュ賞を差し切り、海外重賞初制覇。
道中は折り合い良く、直線で外に持ち出してからの加速と持続が優秀。
9月頭の海外オッズでは上位評価も受け、舞台適性の裏付けは十分。
課題は位置取りで、馬場適性で当日がどのような馬場状態になるのかが大きなポイントです。

ビザンチンドリーム

日本馬の中で非常に注目される存在。
前哨戦のフォワ賞(G2)を2:28.32(Good to Softの馬場)で制し、ソジーやアルカマム、ロスアンゼルスといった欧州古馬をまとめて倒した。走破タイムは同日に行われたヴェルメイユ賞よりも速く、前述のアヴァンチュールと同等かそれ以上の能力を持つ可能性を秘めています。
阪神の天皇賞(春)で惜しくもゴール板手前で敗れましたが、そこでもスタミナ・持続力を示しています。馬場が渋ると評価を下げがちな日本勢ですが、ビザンチンドリームはそのリスクを比較的抑えられるタイプ。

アロヒアリイ

ダークホース的存在なのがこの馬。
ギヨームドルナノ賞で仏ダービー2着馬を相手に快勝し、名を上げてきた3歳馬。前哨戦で勝利した際には、特に終盤の脚と持続力で差をつけた内容が印象的。この勝利で適度な距離経験と折り合いの良さを示し、「2400mも見据えられる下地」があることを証明したと言えます。
母父が凱旋門賞2年連続2着のオルフェーヴルであることから、ロンシャンの馬場に対応できることが十分に期待できる一頭。
操縦性が高く、好位置が取れればロスの少ない競馬ができ、本番でも紛れ込みの可能性が高いと思われます。

まとめ|日本馬初制覇へ現実味

海外のライバル馬は強力なものの、2025年の布陣は例年以上に“現実的な勝ち方”が描ける顔ぶれです。
枠順・馬場・展開が噛み合えば、いよいよ日本馬が凱旋門賞を制する瞬間が訪れるかもしれません。

歓喜の瞬間を夢見て、当日は日本馬を全力で応援しましょう!